裁判員制度と企業の対応 |
裁判員は何をするの? その実務とは
国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が5月21日からスタートしました。
対象となるのは殺人・強盗致死傷・傷害致死等の重大刑事事件で審理は裁判官3名裁判員6名、予備裁判員3名で構成されます。
昨年末29万5千人に候補者として通知がされましたが、その中から面接やくじ引きで人員を選びます。選ばれる確率は試算によると1年間で5,500人に1人だといわれます。但、70歳以上の方は辞退できることとなっています。
審理は起訴された対象事件の「公判前手続き」で争点整理の上、地裁で第一審のみを行い、量刑も決定します。評決は9人の多数決によりますが、たとえ裁判員全員が同判定でも裁判員のみの多数では認められません。拘束される日程は3日から5日というのが普通です。
裁判員には守秘義務がありますが、その事だけでなく、心理的負担が大きい場合もあるでしょう。万一心理的外傷後ストレス障害で治療が必要となった時には国の労災保険で費用を負担、カウンセリングも行うとしていますが、刑事裁判に無縁であった一般国民がこのような経験でストレスを感じないということのほうが無理とも思えます。心のケアの問題は課題となるでしょう。
裁判員社員に対する企業の対応
大手企業では裁判に参加する社員に特別休暇を設けたところが多いのですが、中小企業ではまだ多くが対策はしていないという調査結果が出ています。裁判参加日で休業した日の有給・無給は任意ですが、本人には1万円以下の日当が国から支給される事となっています。裁判員を務める事は労働基準法第7条に定める「公民権の行使」にあたり、休暇を申請されれば認めざるを得ません。単に仕事が忙しいという理由では辞退が認められない以上、休んだから勤務評価を下げる事等は裁判員法に触れることもあり、難しいでしょう。
昨今の経済情勢を考えると中小企業や自営業者には負担が増える事にはなるのでしょうが一生に一度あたるかどうかと思うと長い目で考えていく事が必要なようです。
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