屋台骨を改組した金融証券税制 今年の税制改正は消費税増税への世論向け配慮としての富裕層増税が目立っていますが、税率を上げるといような形式のものが多い中で、従来の仕組みを抜本的に改組することによって、富裕層課税の強化を実現したのが金融証券税制です。 譲渡益非課税から課税へ 屋台骨の組み換えの第1は、公社債等の譲渡による損益は非課税とされていたものを課税に変更したことです。 ただし、平成27年12月31日以前に発行された割引債で発行時18%や16%の源泉分離課税がされているものの償還金や譲渡所得についてはひきつづき非課税です。 源泉分離から申告分離へ 屋台骨の組み換えの第2は、公社債等の利子の源泉分離を廃止し申告分離に変更したことです。公社債等の利子は20%源泉分離課税(国税15%、住民税5%)というのが原則でしたが、源泉徴収制度は維持されるものの、課税制度は、税率が20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税方式に変更されました。 課税緩和の側面もある 屋台骨の組み換えの第3として、この課税化された譲渡損益と申告分離化された利子との間の損益通算が可能となりました。 通算しきれない損失は3年間の繰越控除ができることとされました。 株式課税との一体化 屋台骨の組み換えの第4として、損益通算の範囲は拡大されて、同じく申告分離課税制度を選択した上場株式等の譲渡損益及び配当所得とその繰越控除にまで及ぶことになりました。 申告不要の制度も用意された 屋台骨の組み換えの第5として、公社債等の譲渡損益と利子(源泉徴収(特別徴収)されたものに限る)については、源泉徴収選択特定口座の上場株式等の場合と同じく、損失の繰越控除と無関係であれば、申告不要とすることができることになりました。 証券会社での捕捉管理不可能なものの除外 屋台骨の組み換えの第6として、上記の制度における公社債等の仲間から、証券会社での捕捉管理が不可能な、同族会社の私募債のようなものは除かれることになりました。公社債等への課税方式と株式等への課税方式が類似の形なり、金融証券税制の一体化が飛躍的に進化しました。
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