今回の福島第一原子力発電所の事故は、東日本に重大な被害を及ぼしました。 原子炉は現在、全国に54基あります。 自治体が原発を誘致するのは、恩恵があるからで、雇用の創出やインフラ整備はもちろんのこと、原発により自治体が得られる収入として、電源三法交付金、固定資産税、核燃料税、法人事業税等があります。 ここでは、あまりなじみのない電源三法交付金と核燃料税を取り上げます。 1.電源三法交付金 電源三法とは、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の3つを指します。 電力会社は販売電力量に応じ、1,000キロワットアワーにつき375円を、電源開発促進税として国に納付しています(電源開発促進税法6条)。国の平成21年度決算では約3,300億円の税収があり、ほとんどがエネルギー対策特別会計に組み込まれ、電源開発促進勘定や電源立地地域対策交付金として、発電所など関連施設の整備等のため及び周辺市町村に対する交付金等の財源にあてられています。 福井県では、平成21年度の電源三法交付金は約203.9億円、昭和49年度から累計で約3,246億円交付され、それをさらに関係市町村等に交付しています。 2.核燃料税 核燃料税は、地方税法第4条第3項の規定に基づく法定外普通税で、課税期間は5年間、5年毎に更新されます。 福島県では、発電用原子炉に挿入された核燃料の価額(価額割 100分の10)と重量(重量割 1kgにつき8,000円)に課税し、平成20年以降の5年間で約264億円の税収を見込んでいました。福島県には東京電力しか発電用原子炉を設置していませんので、すべて東京電力からの税収です。 当然ですが、最終的にこれらの税金は電力料金に上乗せされ、消費者が支払うことになります。 3.原発依存の現実 今年度一般会計予算のうち、双葉町では約半分が原発関連の交付金で、税収の約7割が原発関係と報道されています。 今後、福島第一原発の廃止が正式に決まった場合、原発に依存した自治体の財政をどうするかは避けて通れない、大きな問題になるでしょう。
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