非課税はありがた迷惑 日本医師会は平成22年度税制改正要望で、社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度をゼロ税率ないし軽減税率とすることを求めています。 社会保険診療報酬等に対する消費税は非課税とされているため、医療機関の仕入れに係る消費税額(医薬品・医療材料・医療器具等の消費税額、病院用建物等の取得や業務委託に係る消費税額など)のうち、社会保険診療報酬等に対応する部分は仕入税額控除が適用されず、還付(戻し税)されないことは、不合理と指摘しています。 そして、ゼロ税率ないし軽減税率になれば、一切の消費税非課税に関する不合理を解消できるとしています。 医師会だけではない 国は、消費税を課税するとしている課税売上に係る消費税の総額を税収とすればよいのにもかかわらず、非課税と定めた売上に係る前段階仮納付消費税を収納したまま還付しません。非課税売上に係る消費税が国に仮納付されたままであることは不合理なことです。 医師会はこれを指摘するのですが、不合理から救済を医師会だけの問題としています。しかし、この不合理には介護サービスや住宅貸付ほか多くの非課税事業者が被害を受けているのですから、医師会だけの主張にすべきではありません。 医師会は配慮されていた 消費税導入の際やその後の(3%→5%)税率引上げの際において、還付されない消費税相当分を考慮して社会保険診療報酬の値上げがされています。
確かに、医療機器、病院用建物等の取得の際に負担する消費税は多額になるため、こういうものまでの配慮が不十分であることの主張に誤りはありません。 とは言え、他の中小零細の非課税事業者はそのような仕入税額控除不適用分を売上代金に転嫁できる制度的恩恵を受けることなどできず、泣き寝入りしているだけなのですから、このような非課税事業者の声も代弁した主張にしてほしいところです。 医師会のあとに続くべき 医師会の主張を嚆矢と捉えれば、他の非課税事業者に係る業界団体も同様な主張をすべきです。努力しなければ報われません。
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